コラム

SSD (Solid State Drive ) ってどんなドライブ?構造と仕組みを知る

筆者:森本 良照

ストレージ

2016.12.14


最近の多くのストレージ製品やモバイルデバイスで使用されている SSD。いったいどのような構造で動作し、記録をしているのでしょうか?ハードディスクとの比較や、半導体の構造なんかを見ていきながら、ご紹介します。


SSD(Solid State Drive)


ソリッド ステート ドライブ(SSD) とは、記憶媒体に NAND型フラッシュメモリ(半導体) を用いたドライブ装置です。
従来のハードディスクドライブ(HDD)と同様に コンピュータの外部記憶装置 として利用されており、高速なデータ読み込みを可能にしています。ここではこれまでのハードディスクドライブと比較してどのような違いがあるのか?材質や動作原理の差についてみていきます。
 

従来のハードディスクはどのようにデータを保持しているのか?


これまでのハードディスクは、プラッタ  と呼ばれる磁気を帯びる性質の金属薄膜を塗った円盤(直径2.5~3.5インチ)が スピンドル と呼ばれる軸を中心に1分間に約7200~15000回転しています。
その円盤上をデータを読み書きするための 磁気ヘッド が動いています。この磁気ヘッドは電磁誘導の法則に従い磁性体の極性変化(S極とN極の変化)から電流の流れを反転させてコンピュータで扱うデータの最小単位であるビットを検知しデータを読み込みます。

またデータを書き込む際は、書き込みヘッドにある 磁気コイルに電流を流し磁束を作成 します。その磁束でプラッタ表面に塗布された磁性体を磁化させてデータを書き込みます。読み書き両方の処理において磁界の変化が起こった(電流が反転した)タイミングで 1  または 0 と判断しています。

したがって磁性体表面の磁気の劣化や、スピンドルを回転させるモータが不規則な回転をすると、読み書するタイミングにズレが生じる為、結果的にプログラム読み込みエラーやデータ消失につながります。

■参考URL
www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2005/pr20050331/pr20050331.html

ハードディスク (HDD) とSSDの構造

フラッシュメモリ(半導体)はどの様にして作られているのか?


半導体 とは何でしょうか?
以前、私は半導体製造装置関連の業務を少し担当しておりました。と言ってもかなり技術分野が広いのですが私が担当していたのはイオン注入装置でした。

半導体を製造する工程は非常に複雑ですが、大きくは前工程、後行程と分けられています。イオン注入作業 は前工程にあたります。半導体として加工される元の物質は ケイ素 (原子番号14番 元素記号 Si 最外殻電子数 4 つまり -4)です。

ケイ素は石英を多く含んだ鉱物から採取されます。その鉱物を高熱炉で溶かし、不純物を取り除き 『シリコンインゴット』 として円筒状に引き上げられたものを薄くスライスして シリコンウエハー が作成されます。この段階で電気的な性質では 真性半導体 と呼ばれ、ケイ素原子間の共有結合ですべての電子が使用されており自由電子がないので電気が流れにくい状態です。

この状態に外部から 不純物(リンやホウ素)を注入 することで、P 型半導体 と呼ばれる電荷を運ぶ際に 正孔= Positive によって電流を流すものや、 N 型半導体 と呼ばれる、電子= Negative によって電流を流す状態に変化します。

この後も様々な工程はありますが、できたシリコンウエハーの表面にフラッシュメモリ等の電子デバイスとなる為の電気回路パターンを露光装置=(電気回路をレーザ光を使って現像する機器)やエッチング装置=(ガスやイオンの化学反応を使って電気回路を化学腐食させる機器)を使って回路を多層形成します。この様にして出来た半導体製品の中の一種類  NAND型フラッシュメモリ となります。

半導体と電子の関係

NAND型フラッシュメモリーとは?


フラッシュメモリ にデータを読書きする場合、セル という単位で行われます。 
このセルを形成する回路パターンに NAND型: 否定論理積 NOR型: 否定論理和 と呼ばれるものがあります。違いはセルを形成している回路パターンが大きく違っており、データを書く際の電圧の掛け方が大きく違っています。

現在は回路構成がNOR型に比較して単純でしかも大容量のデータを保持できるという事で NAND型フラッシュメモリ が使用されています。フラッシュメモリーの特徴である電源を切ってもデータを保持し続ける仕組みとしては、セルの内部の フローティングゲート と呼ばれている部分で電子を貯めているからです。このフローティングゲートに電子が入る際に 酸化膜 を通過することで傷をつけてしまうことが原因で、フラッシュメモリーの寿命を縮めてしまいます。

しかし、この寿命を延ば為の仕組みや考え方を表す言葉として 『Wear Levling:書き込み回数の平準化』 がよく使われています。つまり特定なセルへの書き込みが発生しないように、ファイルシステムやアプリケーションで調整をしています。
例えば、NetApp 社のストレージOSの中で動いいる 『WAFL:Write AnyWhere File Layout』 というファイルシステムもその一例です。またデジタルカメラの内部でも写真データを複数のセルに均一に書くようになっています。

NAND型メモリの構造

SSDはどのような用途に使用すると良いのでしょうか?


SSDの内部には機械的に動いているものがないということは、冒頭に書いた通りです。データの読み書き速度 がHDDと比較すると格段な性能差があります。
最近の IT基盤においては、仮想化基盤 が主流 となってきています。その中でも特に VDI = (仮想デスクトップ基盤) では高速な読込性能が要求されます。各個人毎のVMDK ファイルの保管場所に、SSDをベースとしたデータストアを利用することで、『Boot Storm= 一斉同時のVMDK ファイル読込による遅延』 等の問題が回避されます。

またはデータ変更の少ない大規模な読込専用コンテンツのデータ保存場所に使用したり、または、データ解析基盤のデータキャッシュ領域としてSSDを割り当てて利用するなどがあげられます。
しかし、データの長期的な保存先としては不向きです。従って扱うデータの属性や性質を考慮して利用することが必要です。

最後に


私たちは日常の生活において様々な情報を処理して生活していますが、そのデータの最小単位である1bit が電子レベルへと変化 したことで、大容量で高速な処理が可能 となり、コンピュータの性能が大きく進化してきました。

今回はSSD について書かせて頂きましたが、一つの製品の中にある様々な基礎技術研究とそこに関わった大勢の人間の努力の蓄積があって、現代の豊かな IT環境が作られているのです。ぜひ、そういったところにも興味を持つきっかけになっていただけたら、と思います。

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筆者紹介

森本 良照

プロフィール

森本 良照(Yoshiteru Morimoto)

■技術分野
 クラウド・BigData関連・ストレージ関連技術
 
■取得資格
 NetApp NCDA 157
 VMware VCP 5.5 
 SAP Netweaver-ABAP Web AS 6.0

■趣味
 Running / Trail Running


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