コラム

湘南ラーメン紀行 Vol.3 ~ epilogue:データ分析、衝撃の結末!? ~

筆者:廣畑 義弘

ビッグデータ
JTPだより

2017.02.01


まぁ、タイトルが大げさであるほど中身は大したことはないというのが世の常ではありますが… 前回までは湘南界隈のラーメン店の特徴を分析することを試みました。 この時、「PPDAC」サイクルを活用し、「データ分析」ってどんなことするのかを念頭に手順を整理してみました。 その結果、Analysis (データの分析)、Conclusion (結論と新たな課題の設定)の段階で、なんとなーく分かってきたことがあります。 ここで、集めたデータだけを見つめていても何も出てこないことがあります。 今回は、ビジネス的な観点として、ラーメンを提供する側の立場を考察に入れてみましょう。


今回は第3弾、epilogueということですが…


ここまで紹介してきた「湘南ラーメン紀行」シリーズ。

Vol.1 「湘南ラーメン紀行 Vol.1 ~ ラーメン店50軒:クラスタ分析してみたら、びっクラスタなー ~」 では、「ラーメン激戦区」である湘南地域をターゲットに、「湘南ラーメン」ってあるのか?と、スープの種類をデータ化し、「クラスタって」みながら、傾向を分析してみました。

Vol.2 「湘南ラーメン紀行 Vol.2 ~ データ分析とPPDACサイクル ~」 では、そもそも「データ分析」ってどうやるのか?ということで、「PPDACサイクル」 をご紹介しました。

Vol.3 では、「PPDACサイクル」でいうと最後の 「C:Conclusion(結論と新たな課題の設定)」 に進みたいと思うのですが、その前に…もうちょっとラーメンの歴史を語ってもいいですか…
 

そもそもラーメンの起源っていったい…


今では国民食と言われている ラーメン ですが、麺やスープに様々なバリエーションがあります。
その起源については諸説ありますが、ウィキペディアの記述 も揺れているほど多くの説があるようです。

元々中国から伝わったとされるラーメンですが、日本人で初めて食したとされるのは、恐れ多くも先の副将軍、水戸光圀公という説があります。
しかし、一般的に食べられるようになったのは、明治時代以降のようです。
http://www.raumen.co.jp/rapedia/study_history/
 

では、私の好きなとんこつラーメンの起源は?


とんこつラーメン といえば、博多ラーメンが有名です。
とんこつラーメンは戦前から食されていたようですが、地域でよく食べられていたものが自然発生的に広まったものではないようです。

挙げればきりがありませんが、いろんな資料をあたってみると、どうやらその起源は久留米にあるというのがおおよその見解のようです。そして意外ですが、あの独特なスープの源流は長崎ちゃんぽん にあると言われています。

【参考Webサイト】
久留米ラーメン とんこつラーメン発祥の味 (たびらい福岡)
http://www.tabirai.net/sightseeing/tatsujin/0000008.aspx

博多ラーメンの歴史 (福岡エンターテインメントナビ)
http://www.i-fukuoka.jp/gourmet/ramen/history.html

豚骨ラーメンとは何か?:豚骨ラーメン特集 (ビーカイブ)
前半 http://b-chive.com/life/food-and-beverage/food/ramen/what-is-ramen-with-pork-bone.html
後半 http://b-chive.com/life/food-and-beverage/food/ramen/birth-and-history-of-tonkotsu-ramen.html
 

結局、ご当地ラーメンとは…


前回までの調査の結果、湘南地域のラーメンに「これ!」といった決め手のないまま虚ろな(?)歳月が過ぎて行きました。データを見る限り、「湘南」を特徴付ける麺やスープの特徴があるようでないような・・・

ところで、その他のいわゆる 「ご当地ラーメン」 とは何が起源であったのか?気になったので調べてみました。

味噌ラーメンの代表格である 「札幌ラーメン」 は、昭和30年代に米国のスープメーカー・マギー社の当時の社長が、「日本には味噌という素晴らしいソースがあるのに日本人はそれを活用しきれていない。」とある雑誌へコメントしたことがきっかけとなったようです。
ちなみにお客さんから、「豚汁にラーメンを入れて欲しい」というリクエストが味噌ラーメンの始まりというのは間違いのようです。

【参考Webサイト】
札幌ラーメン (新横浜ラーメン博物館)
http://www.raumen.co.jp/rapedia/study_japan/study_raumen_sapporo.html

都市伝説「味噌ラーメン誕生のホントの話」 (味の三平)
http://www.ajino-sanpei.com/04_01.html


博多ラーメンや札幌ラーメンのような、いわゆる「ご当地ラーメン」は、美味しいラーメンを地域の人々に食べてもらうために努力して創られたもの であり、それが 結果的に地域に根付いた、あるいは各地に広まって行ったというものが多いと考えるのが妥当でしょう。
したがって、「麺やスープの種類と地域性には関連があまりなさそうだ」 というデータ分析の結果はあながち間違いではないように思われます。

もちろん、長年地元で食されていたものを取り入れて「新しい」ご当地ラーメンを世に送り出すというのも、アリですね。
 

調査の話に戻って…「仮説を検証する」って?


なんだかラーメンの起源を探るという方向にずれてきてしまいました。好きなことっていくらでも調べられますね!
さて、ちょっと調査について話を戻したいと思います。

調査の計画を行った段階で、次のように、「麺とスープに地域性が関係している」 という 「仮説」 を立てました。
・「近所に結構ラーメン店多いな!どのくらいの数の店舗があるのだろう?ひょっとしたらこの中に目当てのお店 (とんこつラーメンのお店) があるんじゃないか?」
・「1軒1軒食べ歩いて調べるのは到底無理!そうだ!口コミのサイトとか探してみて、とんこつ細麺のお店が他にあるかどうか調べてみよう。」
・「そもそもこの近所、ラーメン店が多いのは何故なんだろう?地域性が何か影響しているのだろうか?出店地域ごとのスープや麺の特徴を調べてみよう。」

しかし、集めたデータからは特に目立った特徴は見つかりませんでした。これは、「集めたデータの精度」か、「分析方法の誤り」が起因している可能性もあります。
でもこの段階で、「仮説」の正しさを証明するために判断を誤ってしまう ことがあります。

これは、誰もが陥りそうな盲点ですが、立てた「仮説を検証する」ために調査 していたはずが、いつの間にか 「立てた仮説が正解になるように調査を進めていく」 ように、調査自体が引きずられてしまうことがあります。「正解」を導き出すためにデータ操作を試行錯誤行った末に、迷路に迷い込んでしまうというパターンです。

データの分析を行うときに、忘れてはいけないこと


ところが、データだけ見ていて解決はできなくても、ビジネスの観点からその結果を見てみると、それは一目瞭然である場合 もあります。

様々なラーメンの起源を辿っていくと、麺やスープの特徴は地域に特化したものではなく、その時その時で流行っていたもの、つまり トレンドに左右される要因が大きい ようです。

日本のラーメンの歴史
http://www.raumen.co.jp/rapedia/study_history/

実際、湘南地域のラーメンを調査していても、とんこつスープを売りにしている店が醤油や味噌ラーメンも提供している例も多く見られましたし、太麺と細麺を選べる所もあります。ちなみに全国的に有名な博多ラーメンの某店では、顧客に飽きられないよう何回か味を変えているそうです。

このように、ラーメンを提供する多くの人たちは、お客のニーズに合わせるために弛まない努力を重ねながら日本の食文化を支えていると言えそうです。そしてそれが結果的にビジネスとして成り立っているというのが現状ではないでしょうか。

これは、データだけ見ていては見えなかったことであり、また、データに捉われるばかり本当のことが見えなくなる危険もある ということもわかりました。
つまり、PPDACサイクルの「A:Analysis(データの分析)」を行うときに、「P:Problem(問題の発見・課題の設定)」がなんだったのか思い出しながら、「C:Conclusion(結論)」を導く必要がありそうですね。


さて、ラーメンは「地域ではなくトレンドに左右される」 ということがなんとなく見えてきました。これを更に深掘りするとなると、その時代時代に流行っていたラーメンのスタイルとお客の嗜好の変化をデータで示すことができるかもしれません (PPDACサイクルが1周しましたネ!)。

以上、ラーメン好きとデータ分析好きと湘南好きに送る「湘南ラーメン紀行」、これにて完結です。

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筆者紹介

廣畑 義弘

プロフィール

廣畑 義弘 (Yoshihiro Hirohata)

国内メーカー系SIer、外資系コンピュータメーカー等を経て2015年 日本サード・パーティ株式会社へ入社。主にビッグデータ関連のサービス立ち上げに従事しています。


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